第二章

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  「……こいつのことも、やっぱり退治するんですか?」  栗丘が聞くと、御影はうーんと唸る。 「その言い方じゃあ、君もその子に愛着が湧いちゃってるみたいだね」 「わがままな感情だっていうのは……理解してます」  あやかしは人間の血を好み、場合によっては先日の鬼のように周囲の人間を襲う。  この小動物も同じあやかしである以上、そういった危険性は否定できない。  だが、 「その子は小さいし、人を喰えるほどの胃袋は持ってないからねぇ。それに栗丘くんの血が余程気に入ったみたいだし、栗丘くんさえ嫌じゃなければそのまま飼っててもいいんじゃないかな」 「本当ですか!?」  栗丘はぱあっと顔を輝かせて手元の小動物と目を合わせる。 「聞いたか!? よかったなぁ、キュー太郎! これでお前はうちの家族の仲間入りだ!」 「キュー太郎って……」  それまで静かだった絢永が思わずその名前に顔を顰める。  その隣から、御影がふふっと笑って言った。 「その子、女の子なんだけどねぇ」  
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