第二章

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   警察の機密情報ともなれば、さすがに公の場でそれに触れるわけにもいかないのだろう。  頭では理解しているものの、実質おあずけを食らった栗丘は密かに肩を落とした。  その後は絢永が仕事のことで御影にいくつか質問をし、彼らが話し込んでいる間、栗丘とマツリカの二人は手持ち無沙汰になった。  栗丘は明日から御影の下で働くことになる自分の姿をぼんやりと想像する。  と、完全に気を抜いていた彼の耳元で、マツリカは声を潜めて言った。 「あんたさぁ、ミカゲに良いように使われてるよ」 「えっ?」  不意打ちでそんな言葉を投げかけられて、栗丘は目を丸くした。  マツリカはちらちらと御影の様子を窺いながら続ける。 「あんたの父親がどうとかって話、たぶん当分の間は教えてもらえないと思うよ。ミカゲは意地悪だし、どんな汚い手でも使うような奴だから。あんたが知りたがっている情報ってのを人質にして、あんたを自分の思い通りに使おうとしてるんだと思う」 「そ、そうなのか!? でも御影さんは……そんな人だとは思えないけど」  
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