第二章

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   いつも飄々として掴みどころのない人物ではあるが、御影は栗丘の能力を認めて自らの部署へと引き抜き、さらには生意気な後輩である藤原に苦言を呈した男でもある。  今まで落ちこぼれ警察官として周りから扱われてきた栗丘にとって、彼は救世主といっても過言ではない存在なのだ。 「あんた、チョロすぎ。そうやってあんたが犬みたいに尻尾を振り続けてる限り、あいつは好き放題にやるよ。これは絶対」 「こ、根拠は?」 「あたしが言うんだから絶対。必然! あたしは誰よりもあいつの素顔を知ってるんだから」  マツリカは御影に世話になっている身であり、本人も言うように誰より御影のそばにいる人物のはずである。  そんな彼女がそこまで言うのなら……と、栗丘も段々と御影に対して疑念を抱き始める。 「じゃ、じゃあさ。どうすりゃいいんだよ。御影さんが俺の上司である以上、俺は逆らえないし、下手な態度を取ればこの部署から外されて、欲しい情報ももらえなくなるかも……」  従順なままでは駄目だと言われても、だからといって反抗的な態度を取るのはどう考えても悪手である。  
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