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「あんた、本当にチョロすぎ……。ミカゲはね、そういう適当なことを簡単に口走る人間だから真に受けない方がいいよ」
どこかで聞いたようなフレーズが彼女の口から漏れた瞬間、
「うん? なんだか私の悪口を言われたような気がするなぁ」
と、御影の白々しい声が届く。
栗丘は慌てて「や、やだなあ御影さん。気のせいですって!」と笑って誤魔化す。
やがて再び絢永と話し始めた御影を尻目に、栗丘は細心の注意を払いながらマツリカに耳打ちする。
「で、結局のところどうすりゃいいんだよ。何か具体的な策はあるんだろうな?」
「当然でしょ。あたしを誰だと思ってんの?」
言いながら、マツリカは懐からスマホを取り出して微笑む。
「これ、あたしのアカウント。後でここに連絡してよ」
そう言って示された画面には、SNSのアカウントが表示されていた。
「え。それって、もしかして……」
「あんたみたいなおバカさんには、あたしが直々にレクチャーしてあげる❤︎」
連絡先の交換だった。
十代半ばの少女との、秘密のやり取り。
どこか背徳感さえある未成年からの誘いに、栗丘は思わず顔面を赤くさせてしまった。
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