アルバイトと美衣佐とわたしの家

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お兄ちゃんが玄関のドアを開けて部屋に入る。両親はまだ帰っていなかった。 「今日も遅いみたいだな」 「うん、そうみたいだね」 テーブルの上に目をやると紙切れが置かれていた。わたしはその紙切れを手に取る。 「今日は仕事で遅くなります。夕飯は適当に食べてください。母より。だって~」 わたしは、紙切れに書かれていた内容を読み上げた。 「適当にか。と言っても何もないんじゃないかな?」 お兄ちゃんは冷蔵庫の扉を開けて中身を確認する。 「あるのは、人参とピーマンだけだよ」 お兄ちゃんは溜め息をつきながら冷蔵庫の扉を閉めた。 「あはは、そうなんだ。さっき、スクランブルエッグハムトーストを食べておいて良かったよ。カップラーメンでも食べようかな。あ、お兄ちゃんはお腹空いてない?」 わたしは、ワゴンの上段にあるカップラーメンを手に取りながら聞いた。 「お腹空いてるよ。だけど、バイト先に行く前にカレーパンを食べたからなんとか大丈夫だよ」 お兄ちゃんはそう言いながらワゴンの前までやって来てカップラーメンを手に取った。 「じゃあ、今日の夕飯はカップラーメンだね」 「うん、そうだね。制服を着替えてさっさと食べちゃおうぜ」 わたしとお兄ちゃんの夕飯はカップラーメンに決定だ。当近さんは今頃お母さんが作った美味しい料理を食べているんだろうな。 まあ、カップラーメンも好きだからかまわないけれどね。
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