美衣佐がわからない

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わたしは、ぼーっと頬杖をつき、それから交換日記に目を落とす。 『生クリームがたっぷりなイチゴのシュークリームも美味しかったね。あのイチゴのシュークリームこの前お兄さんのアルバイト先のカフェでも食べました』 『お兄さんと美衣佐ちゃんは兄妹だから好きな食べ物もそっくりなのかな。お兄さんもぱくぱく美味しそうに食べていたよ』  当近さんの書いた交換日記を読み色々考える。 当近さんはお兄ちゃんのことをどう思っているのかな。兄妹だから好きな食べ物もそっくりなのかなだって……。ふん、馬鹿みたい。 わたしは当近さんの日記をじーっと眺めた。その時、お父さんの描いたあの不気味な絵が頭に浮かんだ。 白のブラウスと白のハイソックスに返り血を浴びているあの女性がわたしに似ているような気がしてきた。 そう、わたしは、ナイフでグサッと誰かを刺したいそんな衝動に駆られる。こんなわたしはどうかしている。 血の付いた包丁と薔薇が落っこちている……不気味な絵。お父さん、その女性はわたしに似ているよ。ねえ、わたしに似ているよ。まさかわたしをモデルにしたってことはないだろうけれど。 不気味なあの絵の女性がもう少し大人になった自分の姿だと想像するとゾクッとした。 わたしはどんな大人になるのだろうか。それはわからない。あのお父さんが描いた絵のような世界にわたしはいるのかもしれない。 黒い影がわたしを追いかけてくる。逃げても逃げても追いかけてくる。赤い血がタラタラと流れ真っ白だった世界を汚す。 当近さん、あなたが憎くて堪らない。だけど、嫌いではない。だって、当近さんは優しい女の子だから。 ねえ、当近さんわたしはどうしたらいいのかな。教えてくれないかな? わたしは交換日記をじっと眺め呟いた。
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