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わたしはペンを握り交換日記を書く。
当近さんへ。
わたしは今、バイト先のテーブルでこの交換日記を書いています。日曜日は家に招いてくれてありがとう。楽しい時間を過ごすことができました。
当近さんのお母さんが用意してくれたイチゴのケーキとっても美味しかったよ。当近さんの優しいお母さんに会えて良かった。
うふふ、ケーキのイチゴ大きくて甘酸っぱかったな。わたし、イチゴも薔薇も好きなんだよ。真っ赤で可愛くて綺麗なんだもん。
それとね、お父さんが描いた返り血を浴びた女性の絵と綺麗な薔薇の花が重なって見えたよ。(あ、お父さん画家を目指しているんだよ)
可愛らしくて綺麗な薔薇とイチゴにもきっと、不気味で深い闇があるんだろうね。なんてね……。
当近さん、ごめんなさい。何のことかわからないよね。わたし、可愛らしいものが好きだけど、深い深い闇も心の奥底に持っているんだよ。
当近さん、人は見かけだけで判断できないよ。その人の後ろに見えない秘密が隠れているかもしれないんだからね。
うふふ、変な話をしてごめんね。今の話は忘れてね。お父さんがね黒髪に白のブラウス、黒のミニスカートに白のハイソックスを履いた女性の絵を描いたのよ。
その絵の女性ってば白のブラウスと白のハイソックスに返り血を浴びているんだよ。顔にも血しぶきを浴びているんだよ。
なんかおかしいでしょ。オマケに血の付いた包丁と薔薇が足元に落っこちているんだもん。誰がこんな絵を喜ぶんだろうね?
その絵を思い出して可愛らしくて綺麗な薔薇とイチゴにも闇が隠れているかなと想像しちゃいました。
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