ねえ当近さんちょっとレトロだけどわたしと交換日記をしない？

美衣佐がわからない

わたしは広げた交換日記をじっと眺め考えた。この交換日記の返事をなんて書けばいいんだろう。

ペンを握る手が震えた。美衣佐の心の深い闇とは一体何だろう。家庭環境が悪そうではあるけれど、そこまで思い悩む必要が果たしてあるのだろうか。

わからない。だって、わたしは美衣佐のことをよく知らない。交換日記を通して色々話しているけれど。

まともに話をしたのはお互いの家に行った時くらいなのだから。

そもそも美衣佐はどうしてわたしを交換日記の相手に選んでくれたのかな？ と何故？
とハテナマークが浮かび疑問で振り出しに戻る。

しばらくの間わたしは何も書くことが出来ず交換日記を眺め続けた。

そして、わたしはゆっくりペンを動かした。

美衣佐ちゃんへ。

今日も交換日記を書いてくれてありがとう。

美衣佐ちゃんのお父さんは不思議な絵を描く方なんだね。

そのホラーテイストな絵を見ると夜眠れなくなってしまいそうだな。だけど、個性的な絵を描けるお父さんがちょっと羨ましいです。

それから美衣佐ちゃんが心にどんな闇を持っているのかわからないけれど、知りたいなと思う。

『人は見かけだけで判断できないよ。その人の後ろに見えない秘密が隠れているかもしれないんだからね』

この言葉の意味も知りたいなと思います。めちゃくちゃ気になるよ。

わたしは美衣佐ちゃんと交換日記ができて嬉しいよ。美衣佐ちゃんはどうなのかな？

当近海代より。

わたしは交換日記を書き終えペンを置いた。そして、ふぅーと息を吐く。