美衣佐がわからない

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「いちご柄でふわふわした肌触りのいいノートだね。これ当近さんのノートかな? 可愛い~」 今、とんでもないことを話す声が聞こえてきたような気がした。 わたしは、本から顔を上げた。すると、三竹さんがわたしと美衣佐の交換日記を手に取っているではないか。 「あ、それ!!」 わたしは、大きな声を上げてしまった。 「当近さんっていちご柄が好きだったんだね。美衣佐ちゃんと同じだね~」 三竹さんは、わたしの叫び声なんて気にする素振りも見せず交換日記のページを捲ろうとした。 「ち、ちょっと!! 触らないでよ」 わたしは、椅子から立ち上がり三竹さんが捲ろうとしている交換日記に手を伸ばした。 三竹さんのちょっと吊り上がり気味の目とわたしの目がぶつかり合う。 わたしは、伸ばしたその手で三竹さんが持っている交換日記をパッと取り返した。 無我夢中だったのでまさか、交換日記の角が三竹さんの顎にパコンっと当たると思ってはいなかった。 「い、痛いよ! 当近さんってば何するのよ」 「えっ、あ、ご、ごめんね」 怒りたいのはわたしの方だったけれど、三竹さんの鬼のような形相があまりに怖くて謝った。それに交換日記が顎にぶつかり痛そうだったので。 「ごめんねじゃないわよ! めちゃくちゃ痛かったんだからね」 三竹さんは顎をさすりながらわたしを睨み付けた。 「あれ? 真紀ちゃんどうしたの?」 教室の後ろの引き戸をガラガラと開けて入って来た美衣佐が首を横に傾げながらわたしと三竹さんの顔を交互に見た。 「可愛いノートを見せてもらおうとしただけなのに当近さんってばノートの角で叩くんだよ。美衣佐ちゃんトイレになんて行ってる場合じゃないよ」 三竹さんはそう言ってわたしをギロッと睨みそれから席に戻ってきた美衣佐の顔に視線を移した。
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