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「え? そうなの……二人とも喧嘩なんてしちゃダメだよ」
美衣佐は自分には関係ないよと言った感じで笑う。
「喧嘩なんてしてないよ。当近さんが酷いんだからね」
それはこっちのセリフだよと言いたくなるのをわたしはぐっと堪える。
「もう、一体どうしたの? 真紀ちゃん落ち着いてよ」
「だって、そのノートをちょっと見ようとしただけなんだよ」
三竹さんはそう言ってわたしが取り返しぎゅっと抱えているいちご柄の交換日記を指差す。
「えっ!」
美衣佐は三竹さんが指差したわたしがぎゅっとしてるいちご柄の交換日記に目を向け目を大きく見開いた。
「美衣佐ちゃんどうしたの?」
驚いた様子の美衣佐に三竹さんは首を傾げている。
「そのノートを見ようとしたんだね……」
美衣佐は交換日記と三竹さんの顔を交互に見て尋ねた。
「うん、そうだよ。美衣佐ちゃんそのノート見たことあるの?」
「あ、うん。わたしそのノートを使って当近さんと交換日記をしてるんだ」
美衣佐は口角をきゅっと上げ楽しそうに笑う。美衣佐のその表情はわたしが三竹さんに足を踏まれたあの時と同じだ。
美衣佐どうして笑っているの? この交換日記を三竹さんに読まれても構わないのかな。それとも三竹さんに見せたことがあるのかな。わたしは交換日記をぎゅっと抱え美衣佐の顔をチラリと見た。
「へっ!? 美衣佐ちゃん、当近さんと交換日記をしてるの?」
三竹さんは素っ頓狂な声を上げた。
わたしと美衣佐が交換日記をしていたことを三竹さんはどうやら知らなかったようだ。
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