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「ねっ、二人ともわたしと仲良しってことでいいじゃない?」
美衣佐は問題が解決したかのように笑っている。
そんな美衣佐のことがなんだか嫌になった。わたしは、美衣佐に振り回されている。そんな気がする。
美衣佐の笑顔も悲しそうな顔も何もかも作りもので、それは表情がコロコロ変わるお人形みたいだ。美衣佐に対する信頼感が、呆気なくガラガラガラガラと音を立てて壊れてしまいそうになる。
「じゃあ、その交換日記わたしに見せてよ」
三竹さんがふふっと笑い今もわたしがぎゅっと抱えてる交換日記を見てくる。
「え! それはちょっと困るな……あ、でもどうしようかな?」
美衣佐はそう言ってわたしの顔を試すような目で見てくる。一体どういうつもりなのかな。わたしに何て答えてほしいの。
「美衣佐ちゃん、迷っているんだったら見せてよ」
三竹さんは意地悪く笑う。
「う~ん、でもね、わたしと当近さんの交換日記だからね……」
美衣佐は困ったように眉間に皺を寄せているけれど、なんだか楽しんでいるようにも見える。
この二人を見ていると無性に腹が立ってきた。
「じゃあ、当近さんに頼んでみようかな~」
「頼んでみたら……」
やっぱり絶対に頭に来る!! 何が頼んでみようかなだよ、頼んでみたらだよ。わたしは唇をぎゅっと噛み美衣佐と三竹さんを睨み付けた。
「え? 当近さん怖い顔してどうしたの?」
美衣佐は大きな目を更に大きく見開きびっくりした表情でわたしを見る。
このびっくりした表情ももしかしたら演技なのだろうか。もう、美衣佐のことがよくわからない。いやいやまったくわからない。
一方、三竹さんは、何なのこの子って感じの顔でわたしを見ている。
わたしの怒りは頂点に達した。堪忍袋の緒がプツンと切れた感じだ。
「ねえ、二人ともいい加減にしてくれない!!」
わたしは、声を張り上げてしまった。
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