美衣佐がわからない

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すると、クラスメイト達が一斉にわたしの方を見る。わたしの声は大きすぎたみたいだ。どうしようと焦ってしまったが後の祭りだ。 「と、当近さん、大きな声なんて出してどうしたのよ?」 三竹さんが半笑いで言う。 「当近さんってばちょっと落ち着いてよ」 美衣佐も呆れたような表情で言うものだからふつふつと怒りが湧いてきてドカンと爆発した。 「美衣佐ちゃん、この交換日記を本当に三竹さんに見せたいの? 書いてる内容全部読んでもらいたいわけ? それと、わたしに何か言いたいことがあるんだったらハッキリ言ってよ!」 わたしは一気に捲し立てた。だって、もう我慢の限界なんだから仕方がないでしょう。 「え? 当近さん……」 美衣佐はかなり驚いたようだ。目が点になっている。 「え? じゃないよ。わたし、美衣佐ちゃんが何を考えているのかわからないよ」 と、わたしが言ったところで先生が前の扉から教室に入って来たので話はそこまでになった。 わたしと美衣佐は席に着き、三竹さんは自分の席に急いで戻る。 ほっとしたのと同時に美衣佐とちゃんと話がしたかったなとも思った。 だけど、クラスメイト達に聞かれている中だったので先生が来てくれて良かったのかもしれない。 そう思いながらわたしは美衣佐に渡すつもりだった交換日記と小説を通学カバンに仕舞った。 隣の席の美衣佐をチラッと盗み見ると通学カバンから筆記用具を取り出していた。
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