ねえ、当近さんわたしと交換日記をしない?

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 教室の前でわたしは深呼吸をした。それから引き戸をそろりと開け教室の中に足を踏み入れる。  すでに半分以上のクラスメイトが登校していた。仲の良い子の席の前で話をし笑っていたり自分の席で読書をしている子やスマートフォンを触っていたりなど様々だ。  窓際にある自分の席に目を向ける。すると、美衣佐はわたしの隣の席に座り読書をしていた。  わたしはゆっくりと自分の席に向かった。 「おはよう、美衣佐ちゃん」  わたしが声をかけると美衣佐は本から顔を上げ「当近さん、おはよう~」と薔薇のような微笑みを浮かべた。  わたしは、そんな美衣佐の笑顔はやっぱり綺麗だなと思いながら席に腰を下ろす。 「当近さん、今日も秋晴れだね」 「うん、雲一つない青空がとっても綺麗だったね」 「夏もキラキラ輝いて好きな季節だけど秋も清々しくて気持ちいいね」  「うん、過ごしやすくて綺麗な季節だね」と返事をしながらわたしは、通学カバンの中にある交換日記をいつ渡そうかな、やっぱり登校してきた今かなと考える。  すると。 「当近さん、交換日記書いてきてくれた?」  美衣佐が薔薇のような華やかな微笑みを浮かべながらわたしの顔をじっと見る。 「うん、書いてきたよ」
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