美衣佐がわからない

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わたしは下駄箱からスニーカーを取り出し履き替える。 そして、校門の前に立つ。今日の朝この校門を美衣佐と肩を並べて潜った。あの時はこんなにもどんよりとした気持ちになるなんて夢にも思っていなかった。 それが下校時の今は心の中に出口の見えない暗い暗い闇が広がっている。 わたしは沈んだ気分のまま校舎を後にする。もう、こんな学校に来たくないと思う気持ちとやっぱりまだ、美衣佐に期待してしまう気持ちが残っていた。 だが今は早く学校から離れたい。わたしは猛ダッシュで帰途につく。 何を考えているのかわからない美衣佐なんか嫌いだ。大嫌いだ。心の中でおもいっきり叫びわたしは走った。 心臓が壊れてしまうのではと不安になるほどの勢いで走って走って走りまくった。 そして、気がつくとわたしはパン屋さんの隣にあるお兄さんが働いているニコニコカフェを見上げていた。 その時、「当近さん」と後ろから声が聞こえてきた。その声は振り返る前から誰の声かわかった。そう、その声は。 「お兄さん……」とわたしは振り返り言った。お兄さんは学校の制服姿で立っていた。 「当近さん、どうかしたの?」 わたしを見るお兄さんのその目は心配そうでとても優しい目をしていた。 「……」 返事をしたいのにお兄さんの優しさを感じ声を出す代わりに瞳から涙がぽろぽろ零れ落ちた。 「当近さん、まさか美衣佐が何かしたのかな?」 わたしは首を縦に振り頷いた。
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