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「今日は休みだったんだけどね」
「えっ! そうだったんですね」
わたしとお兄さんはニコニコカフェのいつものカウンター席に並んで腰を下ろしている。
「お待たせしました~海老ドリアです」
店長さんがわたしとお兄さんの目の前にほわほわと湯気の立った熱々の海老ドリアと湯気の立つダージリンティーを「熱いので気をつけてくださいね」と言いながら置く。
「わっ! 海老ドリア美味しそう」
わたしとお兄さんはほぼ同時に言った。
「美間特製の海老ドリアはきっと、美味しいわよ。ところで美晴君、女の子を泣かしたらダメでしょ」
店長さんはじとーとお兄さんを見る。
「はぁ? 泣かしていませんよ」
「あら、そうなのね~」
唇を尖らせるお兄さんと笑う店長さん、そんな二人を見ているとなんだかおかしくて頬が緩んだ。
「さあ、冷めないうちに食べてね。じゃあ、ごゆっくり」
店長さんはにっこり笑い厨房に戻る。そんな店長さんの後ろ姿をわたし達はぼんやりと見送った。
「当近さん、先ずは海老ドリア食べよう」
「はい、美味しそうですね」
わたしは明るく返事をした。
「いただきます」とお兄さんとわたしは言ってスプーンをほぼ同時に手に取る。そして、スプーンですくい口に運ぶ。クリーミーで濃厚なホワイトソースととろとろなチーズに包まれたごはんがもう堪らなく美味しい。
「熱々でとろとろ濃厚でめちゃくちゃ美味しい~」
わたしは満面の笑みを浮かべて言った。悲しかった気持ちなんてどこかへ吹き飛んでしまった。
「海老もぷりぷりしていて美味しいね」
お兄さんもニコニコ笑う。
わたしとお兄さんは熱々の海老ドリアを美味しいねと言い合いながら食べた。お兄さんと一緒にごはんやお菓子を食べるとなぜだかほっとする。
素敵なお兄さんが近くにいる美衣佐のことが少し羨ましく感じた。それなのに美衣佐は心の闇を持っているなんて贅沢ではないかなとわたしは思った。
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