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「そっか美衣佐はそんな態度だったんだね」
お兄さんは溜め息を一つつきダージリンティーを一口飲んだ。
「はい、そうなんですよ。それで、迷っている美衣佐ちゃんに三竹さんがじゃあ、当近さんに頼んでみようかな~なんて言ったんです。そしたら……」
「そうしたら美衣佐はなんて言ったのかな?」
「それが『頼んでみたら……』なんて美衣佐ちゃんは言ったんですよ。だからわたし、『ねえ、二人ともいい加減にしてくれない!!』なんて声を張り上げてしまったんです」
お兄さんに話すと心が軽くなるのと同時に美衣佐のあの笑顔を思い出し胸がキュッと痛くなった。
わたしとお兄さんはティーカップに手を伸ばしダージリンティーを一口飲み心を落ち着かせた。
「当近さんが怒るのは当然だよ。だって、自分と当近さんの交換日記を第三者に見せていいか悩むことがまずおかしいよね」
お兄さんはもってのほかだという顔つきで言った。
「お兄さんもやっぱりそう思いますよね」
「うん、俺だったら悪いけどこのノートは当近さんと個人的にやり取りしてる交換日記だから見せられないよって言うと思うな」
お兄さんは美衣佐に怒っているのか鼻の穴をぷくっと膨らませる。
「美衣佐は何を考えているのかさっぱりわからないね。あ、ごめんね、これでは当近さんと一緒に悩んでいるだけだよね」
お兄さんは手を顔の前で合わせわたしの顔を見た。
「ううん、話を聞いてくれてそれに一緒に考えてもらえてわたし嬉しいですよ。ありがとうございます」
そうなのだ。解決策は見つかってはいないけれど、お兄さんに話をして聞いてもらえわたしはとても嬉しく思っている。
「それだったら良かったけれど……やっぱり美衣佐のことをきちんと考えなきゃな」
お兄さんはちょっと難しい顔つきになりダージリンティーを飲んだ。お兄さんも美衣佐のことで悩んでいるのかもしれない。
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