美衣佐がわからない

41/43
前へ
/149ページ
次へ
わたしはお兄ちゃんが謝ってくれたので許した。わたしは海老ドリアを注文して、お兄ちゃんはナポリタンパスタだ。 きっと、当近さんとも笑顔で食事をしたはずだけど、お兄ちゃんとこのニコニコカフェで食事をする時間はとても幸せだった。 海老ドリアの海老はぷりぷりしていて美味しくて濃厚なホワイトソースもチーズも最高だった。今日は学校で当近さんと気まずくなってしまったけれど、この海老ドリアで帳消しだ。 「美衣佐あのな」、「お兄ちゃんあのね」とわたしとお兄ちゃんの言葉が重なった。 「あ、美衣佐なんだ? 先に言っていいよ」 お兄ちゃんは優しくて先を譲ってくれる。 「わたしね楽しいことを思いついたんだよ」 満面の笑みを浮かべるわたしの顔をお兄ちゃんはじっと見ている。 「ん? 楽しいことって何かな?」 「わたしの誕生日なんだけどね」 「何か欲しいものでもあるのかな? バイト代で買えるものだったら大丈夫だよ」 「あはは、プレゼントも欲しいけど誕生日パーティーをこのカフェでやってほしいなって思ったんだよ」 わたしはニコニコと笑い「ねっ、いいでしょ?」と聞いた。 「うん、大騒ぎしなければいいよ。一応美間さんに確認してみるね」 「ありがとう、お兄ちゃん大好きだよ~」 「あはは、大袈裟な奴だな」 お兄ちゃんは包み込むような笑みを浮かべた。 「うふふ、それでね、当近さんもクリスマスが誕生日なんだ、誘ってOKしてくれたら合同誕生日会にしたいな」 わたしは熱々の海老ドリアを食べ終え最高の誕生日パーティーにするんだからねとほくそ笑む。 まだ、少し先だけど誕生日の十二月二十五日が楽しみだ。
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加