ねえ、当近さんわたしと交換日記をしない?

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 わたしは窓際の一番後ろの席から華やかな女子生徒に囲まれている美衣佐をぼんやりと眺める。美衣佐は友達に笑顔を向けている。  美しくて薔薇の花のような美衣佐は女子から好かれ男子は憧れの存在のようだ。  ここから見ていると、なんだか遠くの世界に美衣佐がいるように見えた。近くて遠い、遠くて近い。なんだか不思議な感覚に陥る。  秋の日差しがぽかぽか心地よい窓際の席からわたしは映画やドラマでも観ているかのような感覚で美衣佐のキラキラ輝く笑顔を眺め続けた。  そんは美衣佐と交換日記ができるなんて光栄なことなのかもしれない。  日差しが心地よくて体がぽかぽかしてきて眠たくなってきた。 「当近さ~ん、寝てるの? 先生が来ちゃうよ」と声が聞こえてきた。びくっとしてわたしは顔を上げた。  右隣の席を見ると美衣佐がわたしの顔を見ていた。 「あ、ぽかぽかな陽気が心地よくて寝ちゃったよ」  わたしは、えへへと笑い頭を掻いた。 「窓際の席って特等席だもんね」  美衣佐はにこっと笑った。  キラキラと輝く太陽の日差しに負けないくらい美衣佐のその笑顔にパワーを感じた。
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