ねえ、当近さんわたしと交換日記をしない?

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 お姉ちゃん、当近 綾代(あやよ)はわたしより二つ上の高校三年生だ。  小学生時代はわたしの方が成績が良かった。それなのに気がつくとお姉ちゃんは勉強に目覚めたのか中学生になるとメキメキと成績が上がった。  その頃のわたしはまだ、勉強を頑張っていたけれど、本来勉強が好きではなかったわたしは中学生になる頃にはやる気をなくしていた。  それとは逆にお姉ちゃんはどんどん成績が上がった。両親はわたしよりそんなお姉ちゃんに期待を寄せるようになった。  わたしはほっとしたのと同時になんて変わりようだと思った。 「お姉ちゃんのいちごドーナツも美味しそうだね」 「うん、いちごの香りがふわふわと漂って美味しいよ」  そう言って笑うお姉ちゃんの顔をわたしはじっと見た。  わたしとお姉ちゃんは顔もあまり似ていない。わたしは丸顔で目が大きくて童顔なんだけれど、お姉ちゃんは面長で切れ長の目の童顔だった。  小学生の頃は公園で日が暮れるまで一緒に遊んだなと幼き日を思い出した。  シナモンドーナツの砂糖で汚れた指をわたしはペロリと舐めた。
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