ねえ、当近さんわたしと交換日記をしない?

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 優等生を演じていた頃のわたしは黄色くてキラキラ輝く花を咲かせるひまわりのような笑顔を浮かべる明るい女の子だった。 『海代(うみよ)ちゃんの笑顔はひまわりや太陽みたいにキラキラ輝いているね』と言われたこともある。けれど、それは偽物の笑顔と輝きだった。  優秀な元友達はケンカをしたわけでもないのに気がつくとわたしの周りに寄りつかなくなった。  やっぱり同じような成績の子同士が仲良くなるのだろうか。ショックだった。成績なんて関係なく友達だと思っていたのに……。  ショックなんて受けていないもんと自分に言い聞かせてみせたけれど、わたしの心はズタズタに切り裂かれていた。  そして、わたしは笑うことをやめてしまった。ううん、やめたというのか笑えなくなっていた。中学時代は暗闇の中にいるようだった。 「ねえ、当近さん交換日記するの? しないの?」  辛い過去の記憶がよみがえり美衣佐の存在を忘れていた。 「あ、えっと、する! 交換日記するよ」  わたしは素直に返事をする。 「やった~じゃあ、今日から交換日記をしようね。隣の席になった記念だよ」  無邪気な微笑みを浮かべた美衣佐は机の引き出しからノートをサッと取り出し差し出す。わたしは、手を伸ばしそのノートを受け取った。  このノートを受け取ったことが全ての始まりだったのかもしれない。そう、知りたくもない現実がわたしを脅かす。  この時のわたしはこれから起こる出来事に気づかず高校時代は楽しくなるだろうとノートで顔を隠し頬を緩めた。
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