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この日食べたカップラーメンは美味しかった。一人ではなくお兄ちゃんと食べたからだ。
「このカップラーメンめちゃくちゃ激辛だね」
「ああ、激辛って書いてあるよ」
お兄ちゃんは笑ってカップラーメンの上蓋をわたしに見せた。
「あ、ほんとだ~。わたしってば気づかなかったよ。わっ、激辛って書いてあるよ。赤味噌に白味噌それに唐辛子だって」
わたしはカップラーメンの上蓋を手に取り声を上げ、「でも、めちゃくちゃ辛いけど美味しいよ~」と言ってニンマリと笑った。
ずるずるとカップラーメンの麺をわたしとお兄ちゃんは「辛い~でも美味しい~」と言い合いながらすする。
口の中がピリピリするくらい辛いのでお水をたくさん飲んだ。ふぅ。こうしてお兄ちゃんと笑い合いながら食事をする時間はそれがカップラーメンであっても美味しいし楽しいのだ。
「ふぅ~辛かったぜ。けど、めちゃくちゃクセになる味だよ」
お兄ちゃんはカップラーメンの容器に箸を置き水を飲んだ。こんな毎日は幸せであるけれど……。お兄ちゃんとわたしは……。
「明日もこの激辛カップラーメンを食べようかな」
「おっ、美衣佐、激辛にはまったんだね」
「うん、激はま~」
「はぁ、激はまってなんだよ」
なんて言い合っていたその時、ガチャと玄関のドア開いた。
「ただいま~お父さんのお帰りだぞ~」
家の中に入って来たお父さんの顔は真っ赤で酒臭かった。
「お父さんまた、飲んで帰って来たの……」
わたしは、酔っぱらって真っ赤な顔のお父さんに軽蔑の眼差しを向けた。
お兄ちゃんも呆れたようにお父さんの顔を見ている。
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