346人が本棚に入れています
本棚に追加
第一章
──初めて出逢った時から彼は人のものだった
『初めまして、水瀬冬二郎です。よろしくね、莉世ちゃん』
『……』
彼は10歳上の姉、理代の彼氏として紹介された。
『あれ、緊張しているの? 莉世、大丈夫よ。大きくても怖くないから』
『えっ! や、やっぱり見た目で怖がられているのかな……俺』
『そりゃ10歳の子から見たら冬二郎の背の高さは脅威でしかないでしょう』
『そ、そっか……』
『……』
(……うん)
初めて見た時はすっごく驚いたの。だってすごく背が高くてひょろ長いのに顔が小さくてクラスの男子とは全然作りが違う男の人だったから。
(でもね、目が……)
お姉ちゃんを見つめる目がすっごく優しくて色っぽくて……私はそんな彼に見惚れてしまった。
そして、これが私の初恋の始まりと終わりだった──。
最初のコメントを投稿しよう!