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(やだ……やだやだやだやだやだ──!)
こんな場所で襲われるのは嫌だ。そして何よりも好きでもない男にこれ以上体を蹂躙されることにもう──
「~~~っ、ん、やぁぁぁぁぁぁぁ」
「!」
私はありったけの力を出して敦の体を押し離した。そのあまりにも強い勢いに敦は後ろの机にガンッとぶつかって「痛てぇ!」と大きく唸った。
「な、何するのよ! 馬鹿!」
「──正気に戻ったかよ」
敦の言葉の意味が分からず思わずポカンとした。
「おまえなぁ、死にたいなんていうんじゃねぇよ!」
「!」
「よくもそんなこと軽々しく口に出していえるな」
「……」
「まぁ、おまえのその様子からしておっさんとの間に何かあったんだろうなって想像は出来るけどよ。でもだからって言っていいことと悪いことがあるっていうのは解れよ!」
「……」
(あぁ……私……)
なんてことを言ってしまったのだろう。
(お姉ちゃん…!)
生きたいと強く願っていてもそれが叶わなかった姉のことを知っていながら私はなんてことを言ってしまったのだろうと深く後悔した。
「わ……私……」
『死にたい』だなんて感情に任せて軽々しく口に出していい言葉じゃない。それは私が一番よく分かっていたことだったのに──。
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