トレーナーの女

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トレーナーの女

「お疲れ様〜。」 「よお、南茂〜。今日は飲みいかないか?」 同僚の佐古がグイっと、飲み干すようなジェスチャーを交えながら聞いてきた。 「酒か〜久しぶりに行きたいな。けど今日はジムの日なんだ。来週ならいつでもいいんだが。」 「おっ、そうだったな!来週は接待多いからな〜…」 カレンダーの日付を指で追う佐古。 「水曜にしよう!」 「来週の水曜な。分かった。」 「おうっ。体のメンテナンスもいいけど、あんまり奥さんを待たせんなよ。寂しがるぞ。」 「分かってるさ。じゃあな。」 佐古は何度か我が家に来たことがあり、家で3人、飲むこともあった。 佐古は34歳独身だ。 ガタイもよく見た目も面倒見もいいのだが オジサン臭いところや強引なところがちょっと… 結婚はしなくていいと本人は言っているが… 出来ないのかしないのかは定かじゃない。 鞄を持ち外へ出ると、朝とは逆の順番をたどる。 と、その前に寄るところがあった。 ジムだ。
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