スイッチ

理那

「ただい、ま…」

玄関の扉を勢いよく開けた。
が、掃き出しに見たことのある革靴がキレイに揃えてあるのを見て、
声の勢いはなくなってしまった。

つい最近見たことのある、男物の靴だ。

今日はいつもの水曜より１時間ほど早く帰宅しているが…。

誰か来ている？

もしかして毎週来ているのか？

それとも今日はたまたまか？

胸がザワザワして落ち着かない。

帰宅するといつも出迎えに来る理那が今日は来ない。

鞄を床に置いた。

そして靴箱の天板に手をやると、バランスを崩さないように片脚ずつ革靴を脱いだ。

一体誰だ…？

広くはない玄関ホール。
すぐ近くのリビングにつながるドアを開けた。

あまり音を立てないように開けたのは何故だか分からない。

20帖程のリビングダイニング。
見渡してみるが誰もいない。

ダイニングテーブルにはコップが２つあった。