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2.
何となく気になって、そのままコーヒーショップまで付いていってみた。
どうせ暇だし、喉も渇いていたし。
テーブル席に座った2人は、良く言えば初々しく、悪く言えばよそよそしい雰囲気。
三つ編みの子が恥じらったり照れたりしてる風なのに、ボーイッシュはあまり気にしてないというか。変な言い方だけど、相手にそれほど関心が無さそうだった。
彼女に関心がないっておかしくない?
そう思ってから、そもそも彼女なのはどっちなんだとか考えてしまった。女同士なら両方か。
別に、同性同士の恋愛に偏見はない。男同士でも女同士でも、何だってありだと思う。
大事なのは、お互いがお互いの事を誰よりも好きで、誰よりも大事に想ってるってことだから。
あの二人みたいに、ね…
6月の結婚式を思い出して、あの時の感動が蘇った。
あの日の修くんは、これまでのどんな男前な姿よりも格好良くて、その隣に立つ恵さんは神々しいほど綺麗で。
ゲストの前で誓い合う言葉にはうるっときたし、夕闇のテラスで静かに踊る姿はまるで映画のワンシーンみたいだった。
それまでだって羨ましかった二人の関係は、ますます俺の中で完璧に近付いた。
もう、俺なんかの手は届かないんじゃないかと思うほどに。
自分の理想がとんでもなく高くなってることは自覚していた。ちょっとやそっとじゃ手に入らないだろう。
でも欲しいのは、あの二人みたいに深く愛し合える恋人。
運命の人。
これまでみたいな、何となく付き合ってそのうち飽きて別れる、みたいなのじゃなく。
その人のことしか考えられなくなるような、我を忘れるほどの恋がしてみたかった。
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