秋野

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7.  秋野に言いたいことができた。 でもいきなり、キスしようよ、は突拍子もないだろうと思って。 「恩返し、やり直そ?」 そう言ったら、かなり怪訝そうな顔をされた。 けど、おでんに付き合わせたんじゃなく他のことにしてほしいと言ったら、渋々納得してくれた。  どう言おうか少しだけ迷って。 「俺と付き合おうよ」 キスするならこれだろうと思ったから。 ストレートな言い方をしたら。 「嫌」って即答された。 しかも、盛大に眉をしかめて、だ。 断られるとは思ってなかったので驚いた。  何で何での応酬から、付き合いたいって何だと言われたので、そのままの意味だと言ったけど。 もう一度、付き合いたいとはっきり言ってから気付いた。 誰かにこんなことを言うのは生まれて初めてだった。  なのに秋野は、好きじゃないから無理だと言う。 お互いのことをろくに知りもしないのに、付き合うなんて無理なんだって。 だったら俺のことを話そうと思った。俺も秋野のことをもっと知りたかったから、丁度良かった。 でも、そう言ったら秋野の目が吊り上がって。 ものすごく怒られた。  何様から始まって、チョコレートの恩はあるけど何でそれで付き合わなければいけないのか、好きでも何でもない相手に連れ回されて迷惑していると言うのだった。 恩返しと言うなら常識の範囲にしろと。 これはグサっときた。 男みたいとは言え、女の子にこうまで言われたことはなかった。  あ、同じようなのがバイト先にいるけど、あいつは女じゃないから除外だ。
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