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中に入ったら、スタッフの人が先に廊下を歩いて会場へ案内してくれた。
レストランの中は、外装と同じくモノトーン系の内装。
大理石調の床は黒、腰の高さくらいまでの壁紙がグレー、そこから上は天井含め白という、グラデーション仕様。
モノトーンでも雰囲気がさみしくならないのは、真っ白いテーブルに飾られた豪華なアレンジジメントがあるから。
赤、黃、橙、濃い桃色、南国を思わせる華々しい植物の明るい色が際立って、いかにもセレブな若者が好みそう、な感じ…?よくわからないけど。
いくつかのテーブルに料理、飲み物、グラスや食器類が用意されていて、所々に担当のスタッフぽい人がいて。基本はフリースタイルで飲食できる様子だ。
ざっと見ただけで30人以上、同じようなセミフォーマルの服装をした男女がいて、それぞれ手に飲み物などを持ってあちこちで話をしている。
個人もいれば、寄り添うペアもいた。
「アキくん、ドリンクどうする?」
隣から訊かれて、はっとした。
「もらってくるよ。サヤカさんは何がいい?」
「んー、フルーツティーにしようかな」
「わかった」
「私、先に主役のとこに行ってるね。後から来てね」
するっと手を離して、サヤカさんが奥へ向かった。
ドリンクスタンドみたいなテーブルの横に、ウェイターっぽい男性がいる。
近付くと、
「何になさいますか?」
と訊いてくれた。
「フルーツティーと…、ジンジャーエールを下さい」
「かしこまりました」
慣れた手つきですぐに用意されたドリンクを両手に持って、サヤカさんを探す。
確か、先に主役のところに行くと言ってた…
さっき歩いて行った奥の方を見ると。
一番奥の大きなソファの中央に座っている女性が、主役らしいのがわかる。
長い黒髪、光沢のある青いドレス。
ドレス…?ドレスだな。
ほんと、セレブってすごい。
これもまた、高校生?って感じの大人っぽさだけど。
よく見たらみんなそんなだし。
私だって、女子高生には見えてないだろう。
主役の女性のソファの横、コの字の右側に当たるソファにサヤカさんがいた。
楽しそうに笑ってる。
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