再会

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8. 「豪快〜」 熱々よりも少し冷めたかな、くらいで丁度いい大根を頬張っていたら、隣の男がニヤニヤしながら言った。 この人は何でこんなに私の方をジロジロ見るんだろう。 もぐもぐしながら無言で見返していると、相手も同じようにする。 お互い大根を食べながら無言で見つめ合うという意味の分からない状況。 でも何故か目を逸らしたら負けな気がして、ひたすら相手を見続けた。 「はい、卵とがんも〜」 結局、お爺さんに声を掛けられたのが合図のように目を逸らし、次のお皿に進んでがんもどき、しらたき、卵、竹輪、はんぺんと食べる間は絶対隣を見なかった。 向こうの視線は、感じたけど。 「あ~、食った食った」  満腹だ、と言いながらまた隣を歩く男。 何で一緒に歩くんだと思いつつ、口にはできず。 恩返しなら当然こっちの奢りだと思ったおでんは、何故か相手が全部まとめて支払った。 何がしたいのかさっぱりわからないけど、自分の分をさっさと払って帰りたい。 どこかに寄ろうとか、そういう気分じゃなかった。 1000円札を2枚取り出して、さっと相手の前に出した。 「ん?何これ」 「こっちの分、ですけど」 「いらないけど?」 「…奢ってもらう理由がないです」 「恩返ししてくれるんでしょ?」 「だったらこっちが奢るんじゃないんですか?」 もう、喋りたくないとか言ってる場合でもなく。 疲れたし面倒くさいしわけがわからないし、声を低くとかどうでも良くなって、素で言ってやった。
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