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〈ずいぶん長いようで、それでもあ
っと言う間に過ぎて行った日々。
とつぜんのことに戸惑っているけど、
みんなとの日々は楽しかったです。
ゆとりを持って生きていきたい。
きょうは二度と戻らないから、
がむしゃらにこれからは
好きなことを好きだと言いながら
きもちに正直に生きていきたい。
でも、僕は後悔もあります
し、やり残したこともあるけど、いつか
ただいまってみんなと再会したい〉
「詩だ……」
卒業文集に詩を書く人は、私の学年では何人かいて、めずらしいわけじゃなかったけれど、東海林が詩を書くのはめずらしいと思った。
「それにしてもなんか歯切れが悪いなあ」
私はつぶやきながら首を傾げた。
「……あれ?」
ふと私には何かが見えた。何が……そう、メッセージだった。
東海林の書いた詩に、メッセージが見えたのだ。
「これ、頭だけ読んだら文章になってない?」
〈ずっとみゆきが好きでした〉
「え……?」
私の名前はみゆき。小学校にも中学校にも〈みゆき〉という生徒はなかった。ということは、私のこと……?
「あーっ!」
私は卒業文集を強く抱きしめながら叫んだ。
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