大嫌いと言われた元カレに再会したら、子どもごと溺愛が待っていました

62/85
2381人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
 拓也は脱力したようにため息をつきながらそう言った。  私はと言えば、息子にキスシーンを見られ、どういう顔をしていいかわからずテーブルの上に突っ伏した。 「うん、なんか邪魔しちゃだめかなって」  小学三年生にして空気を読みすぎではないだろうか。恥ずかしすぎる。  拓也は仕切り直すように「秀也」と名前を呼んだ。秀也がやや照れた様子で拓也へ視線を向ける。 「俺を、秀也のお父さんにしてくれないか? 君と一緒に、お母さんを守りたいんだ」 「仲間?」 「そうだ、仲間だ……それで、家族になる」 「うん、べつにいいよ。僕、犬飼さんをお父さんって呼んだ方がいいの?」 「呼んでほしいけど、無理にとは言わない。急に俺を父親だって思うのも難しいだろ?」  拓也は苦笑しながら言った。十年父親がいない生活だったのだ。たしかに拓也をすぐに父親とは思えないかもしれない。 「そんなことないよ。お父さんがいたらこんな感じなのかなって、昨日ずっと思ってたから。ゲームの話とか楽しいし。お父さんのお仕事すごいね」
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!