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また新しい環境に慣れるところから始めなければならないのかと考えると気が塞ぐ。
岩波さんと別れて自席に戻ると部長と目が合う。私の契約満了を決めたのが部長なのか、ばつが悪そうに目を逸らさせる。
会社の決定に不服を申し立てるつもりもないし、そんな時間もない。日々の生活と子育てでいっぱいいっぱいだ。恋愛をしている余裕さえなかった。
ただ、十年経った今でも、あの恋は一生ものだったと思える。
秀也は日に日に拓也に似てくる。秀也の笑った顔を見ているだけで、彼を思い出してしまう。私はきっと、いまだに拓也への恋心を昇華し切れていないのだろう。
派遣契約満了が決まったからだろうか。
珍しく定時で帰っていいと部長に言われ、十八時過ぎに実家に着く。
「ただいま」
「お母さん、おかえりなさい!」
「秀也~ずっとほったらかしてごめんね。おばあちゃんのいうことちゃんと聞いてた?」
「あったり前じゃん! 宿題もやったし、ご飯も残さず食べたし!」
「偉い偉い! 学校はどう?」
「楽しいよ~今日はね、帰ってからゆうくんとゲームした!」
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