大嫌いと言われた元カレに再会したら、子どもごと溺愛が待っていました

12/85
前へ
/85ページ
次へ
 秀也はピースサインを作って、にかっと笑う。笑った顔は拓也にそっくりだ。癖のない真っ黒の髪も、目鼻立ちの整った顔も。高校時代の少年っぽさを残した彼を思い出させる。 「寧子、今日は早かったのね。良かったわ~秀也くんの勉強、私じゃちゃんと見てあげられなくて」  リビングには、私の分の食事が用意されていた。  母には本当に感謝している。父を亡くしてから秀也が生きがいだと言ってくれるけれど、子どもの面倒を見るのは楽じゃないだろう。 「お母さん、いつもありがとね。疲れたでしょう? ご飯食べたら私たちは帰るから、ゆっくり休んで」 「そうさせてもらおうかしら。歳を取るとだめね、体力がどんどんなくなっちゃって。でもあなたも無理をしないのよ? なにかあったらすぐに言いなさいね」 「うん、わかってる。鍵かけて帰るから、もう休んで。おやすみ」 「おやすみ。秀也くんも、おやすみね」 「おばあちゃん、おやすみ~また明日ね」  私は母の作ってくれた料理を電子レンジで温め、食事をしながら秀也の話を聞いていた。もっぱら話す内容はゲームのことばかりで、聞き役に徹していると文句を言われる。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2527人が本棚に入れています
本棚に追加