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「も~お母さんちゃんと聞いてるっ?」
「だって、お母さんそのゲームやったことないからわからないの」
「お母さんもやれば……あ、お仕事で時間ないもんね……ごめんなさい」
私がいつも忙しくしていると気づいたのだろう。
秀也はしゅんと肩を落として謝ってくる。九歳の子にこんなに気を使わせていたなんて、自分の不甲斐なさにため息が漏れそうだ。
「ううん、お母さんああいうゲーム向いてないだけなの。秀也はよくあんなに素早くコントローラー動かせるよね。頭がこんがらがらない?」
「え~簡単じゃん」
秀也はわりとすぐになんでも熟す子どもだ。学校の成績も良く、物覚えも早い。そつなく熟すところを見ていると、本当に拓也の血を引いているのだなと実感する。
「そう? あ、早く帰らないと、もうこんな時間」
壁に掛けられた時計を見ると、すでに二十時近い。秀也は九時過ぎには寝てしまう。家に帰って風呂の準備をしなければ。最近こんなにゆっくりできることがなかったから、だらだらと話し込んでしまっていた。
「秀也、帰る準備しておいて。お母さんこれ洗ってくるから」
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