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大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
プロローグ
「ごめんなさい、別れて」
私は、高校時代の三年間を恋人として過ごした彼──犬飼(いぬかい)拓也(たくや)にそう告げた。
先週卒業式を終えて、都内にある某有名国立大学の合格を二人でもらったばかりだ。
春とはいえ、まだ肌寒い今日。いつものようにファストフード店ではなく、公園で待ちあわせようと言ったのは、拓也に別れを告げるためだった。
「寧子(ねいこ)? なに言って」
「本気なの。別れてほしい」
「本気ってうそだろ。冗談も大概にしろ」
拓也が訝しむのも当然だ。私たちは本気の恋をしていた。ケンカをすることはあっても、互いにかけがえのない人だとわかっていたから、話し合い、譲り合って解決してきた。
そんな私が一方的に別れを告げるなど、彼にとっては青天の霹靂もいいところだろう。
「私が、そんな冗談言うと思う?」
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