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振り向くと、拓也の端整な顔が間近にあった。私は目を瞑り、彼の唇を受け止める。
徐々にキスが深まっていく。私は縋るように拓也のシャツに掴まり、唇を受け止めながら荒く息を吐きだした。
「はっ、ん」
背筋からぞくぞくとした震えが湧き上がってくる。
二十八にもなれば、それがなんなのかを知っている。昂った身体を持て余すように太ももを擦りあわせると、彼の手がスカートを捲り上げ太ももの内側へ入ってくる。
「あ……待って……ここじゃ」
「そうだな。ベッド……はまずいか」
秀也が寝ていることを思い出したのか、彼が苦笑する。
「でも、もっと、キスしたいな」
「私も……したい」
拓也はキッチンカウンターに置いたグラスを手に取り、一気に呷る。からんとグラスの中に入った氷が揺れて音を立てる。
腰を引かれてやや強引に口づけられると、ひんやりとした塊が口腔内に押し入れられる。互いに氷を舐め合って、舌が絡まる。口の中の熱さで氷はすぐにとろりと溶けてしまう。
「はぁ……」
唾液と共に飲み干し、熱に浮かされた吐息を吐きだす。ぐいと手を引かれて、連れていかれた先は人が寝られるほど大きなソファー。
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