授業態度も化けた

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授業態度も化けた

 挨拶を兼ねたHRを無事済ませ、意気揚々と授業に臨む田辺。  しかし彼は忘れていた。宇保くんはダイヤの原石ではあるが、同時に教師にとっては授業の進行を妨げる難敵でもあったことを。  さらに今の宇保くんは、2年前と比べ筋肉だけでなく授業態度も進化?していた。  以下、授業風景のダイジェストである。 ◯1時間目「国語」 皆「うぅ……ごん、可哀想に……」 田辺「それでは設問に移るぞ。第一問!『毎日栗を届けてくれていたのがごんだったと気付いた時の主人公・兵十の気持ちを答えなさい』。分かる人は挙手を……おっ! じゃあ、宇保くん!」 宇保「はい! 『栗よりバナナ食べたい』!」 田辺「それただの君の気持ちじゃないの!? というか、授業中にバナナ食べるのやめなさい!」 ◯2時間目「社会」 田辺「えー、『1588年に豊臣秀吉によって行われた、農民らから武器を取り上げて全国的に兵農分離を進めることとなった政策の名前は?』……ん。じゃあ、宇保くん」 宇保「はい! 『バナナ狩令』です!」 田辺「何それ楽しそう! これで世は安泰だね……って違うわぁ! 刀狩令だ! イチゴ狩りみたいな言い方すな!!」 ◯3時間目「数学」 田辺「『1000円札1枚持って買い物に行き、1本90円の鉛筆を3本、1個60円の消しゴムを2個買った時、お釣りはいくら?』…………えー、他には誰も居ないかな? 居ないのね? ……じゃあ、宇保くん」 宇保「先生! このままじゃ分かりにくいので、身近なものに置き換えて考えてもいいですか!」 田辺「……十分身近な題材だと思うけど、それで宇保くんが分かりやすくなるなら、どうぞ」 宇保「では……『1000円札1枚持って買い物に行き、1房5本のフィリピン産バナナを3房、1房4本のエクアドル産バナナを2房買った時、おやつはバナナ?』  ……分かりました! 正解は、『バナナはおやつに入ります!』」 田辺「せめて数字で答えてくれ! もう全然意味わからないから!!」 ◯4時間目「英語」 宇保「あ、あっぽー……ぱいなっぽー……れもん……oh! banana!」 田辺「うん、これは読めたな。というかバナナネタしつこいな?」 ◯5時間目「理科」 宇保「タケノコとはイネ科タケ亜種タケ類に属する植物の若芽の部分の総称で、赤道を中心とした熱帯雨林帯など広く世界中に分布している。日本でよく見られる『モウソウチク』など温帯性のものには地下茎があり、地温が高まる早春頃から地表に顔を出し始め……」 田辺「いい、いい! もうやめて! バナナネタしつこいって言ったことは謝るから! 野生のゴリラはバナナじゃなくタケノコをはじめとした植物が主食とか誰も知らないから!!」  とまぁこんな具合に、ある意味パワーアップした宇保くんに田辺は振り回されまくった。
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