第426話 子猫達の縄張り編6

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第426話 子猫達の縄張り編6

(前話の続き) 「どうしたの~?」  呼びかけに応じて物置から出て来たハチは、情けない顔をしていた。 「ごめん。ない…」 「ない?」  物置に猫ハウスはかった。  以前それが置かれていた場所には、今は別のものが置かれている。 「使ったこと、一回もなかったからかな…」 「ふむ」 「なるほど」  ハチは考え込み、トラとレオンが頷いた。  確かに一度も使われなければ、人間は猫ハウスを置くのをやめるだろう。  子猫達が尋ねた。 「じゃあ」 「家に入れなかった時は」 「どうしてたの?」 「そういう時はどっか適当に…」  ハチは去年の冬のことを思い出しながら説明した。  まず、寒さが理由で家に帰る場合は、人間が活動している時間のうちにさっさと帰る。  それができなかった場合は、いつものように好きに過ごしていれば、そのうち夜が明ける。  誰かの寝床に入れてもらったことも何回かあった。 「う~ん…」 「参考になるような…」 「ならないような…」  子猫達は何とも言えない様子だ。 (続く)
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