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初夜って、あの、初夜のことですよね?
砂漠のオアシスとアラビアの宮殿を融合させたラグジュアリーな外観が目を引く、ドバイでも屈指の五つ星高級リゾートホテル。
あたかもランプの妖精の魔法にでもかけられたかのようなロマンチックな雰囲気が漂っている。
ホームページの謳い文句にも記されている通り、ライトアップされ七色の光彩の中に浮かび上がった荘厳で豪奢な建物は、宮殿にしか見えない。
それをオアシスに見立てたプールがゆったりと取り囲んでいる。その紺碧色の水面には、宝石の粒を鏤めてでもいるかのごとく、煌めく夜空に浮かぶ黄金色の月がゆらゆらと揺らめいている。
何とも幻想的な光景だ。
そんな素敵なアラビアンナイトを想起させるホテルの、これまた豪華で広々としたレジデンスのベッドルーム。
その中央には、天蓋付きのキングサイズのベッドがドドンッと設えられている。
その上で、杏璃は旦那様となったばかりの央輔を前に、大いに狼狽えていた。
「あの、確認なんですが。〝初夜〟って、結婚して夫婦になったばかりの男女が子どもをもうけるために営む、あの、初夜のことですよね?」
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