降って湧いた縁談話

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 歴史の教科書に名を連ねるほどの旧家である鷹村家の一族は、どういうわけか代々美形揃いとしても知られている。  それを最大限に活かしているのだから、実に理にかなった商売と言ってもいいだろう。  そこに目をつけて美容外科医となり、美容業界にまで参入した洋輔の商才については、素直に尊敬している央輔である。  少々軽くて調子のいいところがあるものの、洋輔には央輔にはない〝人たらし〟の一面がある。  クリニックには、コンプレックスや今よりもっと綺麗になりたい、という患者の気持ちに寄り添い、要望を的確に汲み取り、患者一人ひとりに合わせた治療方針と処置を提案・提供することがもっとも肝要となる。  そのためには優れたコミュニケーションは欠かせない。  洋輔はその能力に非常に長けていた。  それが功を奏して、今では洋輔は「美容界のキング」などと呼ばれている。  ブリザードを吹き荒らしている張本人である副院長――鷹村央輔もまた、一族の血統を継ぐたぐいまれなる美貌の持ち主である。
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