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だが次の瞬間、伯母の口から飛び出した大きな声に仰天した杏璃は、危うくカップを取り落としそうになったが、なんとか難を逃れた。
「……え⁉ 来られない? 『見合いどころじゃなくなった』って……そ、それは、一体どういうことですのっ!」
――もしかして、お見合いが中止になったのかな? だったら嬉しいけど。どうなんだろう……。
「そうですか。わかりました。ではそのように伝えますわね。ええ、ごきげんよう」
逸る気持ちを抑えつつ、杏璃は通話中の晴子の様子を静かに見守っていた。
つい数秒前まで緊張感に苛まれておかしくなりそうだったのも忘れて、期待感に胸を膨らませていた杏璃の予想は、通話を終えた晴子からの思いがけない言葉によって呆気なく覆されることとなる。
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