お見合い相手がまさかの推し⁉

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「実はね。先方は、以前から杏璃のことを見初めてくださっていたようで、今回の縁談に乗り気だったようなの。けれど、スキャンダルが報じられて今日は来られないらしいのよ。でもこれまでも、もちろん今回も、まったく身に覚えがないんですって。おそらく相手にされなかった腹いせだろう……ですって。それを必ず証明してみせるから、日を改めて見合いの席を設けてほしい。そう仰っているのだけれど、どうかしら?」  晴子の話によると、噂とは違ってとても誠実な好青年で、結婚相手として、家柄も容姿も申し分のない相手なのだそうだ。  そこにふと見合い写真で見た相手の姿が脳裏に浮かんでくる。  今をときめく人気俳優だけあって、目鼻立ちのハッキリとした華やかなイケメンだった。  残念ながら……杏璃が理想とする王子様キャラとは違い、彫りが深く凜々しい容貌は、王子を護衛する騎士を彷彿とさせる。  理想はどうあれ、そんなイケメンが月並みの容姿しか持ち合わせていない自分のことを見初めた上で縁談話を進めようとしているなんて、驚きでしかない。
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