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その一方で、動揺しまくりだった。
スキャンダルが虚偽だと証明されれば、予定通りお見合いさせられた挙げ句、結婚まで一直線に違いないからだ。
「……ど、どうって……言われても。正直、結婚なんて考えたこともないし、断られるものだと思ってたから……」
「そうよね。まだ若いんだし、無理もないわ。別に強制する気はないのよ。実際に相手の方とお会いしてゆっくり話してから決めればいいのよ。一番大事なのは杏璃の気持ちですもの」
杏璃の動揺を察したのか、最後には杏璃に共感し気持ちを尊重したいと言ってくれているが、相手が乗り気なのだ。
そう簡単に断ることなどできないだろう。
まだまだ先だと思っていた〝結婚〟の二文字が一気に現実味を帯びてきた。
――どうぜ三次元に理想の相手なんていないんだし、だったら誰と結婚しても同じだよね……。
とは思いながらも、どこか諦めきれない杏璃だった。
どんよりと沈んでしまっている杏璃の意識に、晴子のはしゃいだ声が割り込んでくる。
「あら、やだ。あの方って、〝美容界の氷のプリンス〟じゃない？ ねえ、杏璃、そうよね？」
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