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ーーもしかして、食後に飲んだ甘くて綺麗なカクテルが効いてきたのかな。
そう思うほどに、何だかふわふわしてとてつもなく心地がいい。
あまりの心地よさに驚いていたのも忘れて陶然となった杏璃は、無意識のうちに央輔の広い胸にぎゅっとしがみついていた。
すると杏璃の様子を案じた央輔が即座にキスを解いて、優しい声音で問いかけてくる。
「どうした? 苦しいのか?」
蕩けるような甘いキスが名残惜しくて、杏璃は素直な気持ちを伝えてしまう。
「あっ、いえ、気持ちいぃ……です」
杏璃の反応が意外だったのか、央輔は一瞬だけ目を瞠ると意味深な台詞を囁いた。
「……感じやすいんだな。だったら、もっと気持ちよくしてあげるよ」
――へ? 今、感じやすいって言った? それに、もっと気持ちよくしてあげるよって言ったよね。
いつもと変わらず無表情なのに、心なしか嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
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