969人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
確かに東京からのフライト時間である十時間四十分プラス数時間前、この男・鷹村央輔と雅な明治神宮の神殿にて三三九度を酌み交わし、正式な夫婦となった。
けれどこの結婚には愛などなかったはずだ。
見合い相手にドタキャンされた者同士、偶然そこに居合わせ、伯母の突拍子もない提案で、なし崩し的に見合いをすることになった。
そうしてたまたま、互いの利害が一致して〝ソロ活婚〟をしたにすぎないのだから。
そこに、推しとソックリな美貌という、奇跡のようなオプションが付加されていただけ。
――それなのに、どうしてこんなことに……。
夫となった彼に、甘く、優しく、淫らに、翻弄される杏璃の脳裏には、戸惑いと疑問とがひしめき合っていた。
最初のコメントを投稿しよう!