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空き家物件調査
「11区のここは、本当にアンティークですね」
近藤は、街並みに連なる、歴史を感じさせる古びた4階建ての建物を眺めた。
「アンティークって言えば、聞こえがいいけど、建物は築100年以上前だし」
久遠は、大木のマロニエに手を置いて、幹のゴツゴツした感触を楽しんでいる。
近藤は鞄から書類を出して、これから向かう物件の間取りを確認しはじめた。
「4LDKですね。中はリノベ済で、きれいなはずです。
家具や照明、カーテンなどは、これから確認ですね」
古びた4階建ての建物の裏手に回ると、こじんまりした庭付きの一軒家があった。
「ふん、エラール伯爵の、秘密の愛人の隠れ家だったからな。
突然の病気で、亡くなったと聞いたけど」
まだ若い愛人は、この家で急性心不全で倒れ、救急搬送の最中に亡くなったらしい。
取りあえず、事故物件を回避したというところが、現実だろう。
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