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白い野薔薇の咲く小さな前庭、隣にガレージ、裏庭には小さな野菜畑があるが、丈の高い雑草でおおわれている。
ここで生活をしていた人は、つつましやかで自然を愛した人だろうか。
近藤はそう感じながらも、雑草でおおわれた裏庭を歩いて、スマホで売却用資料のための写真を撮り始めた。
近藤は理解していた。
売り手のエラール伯爵は、この愛人との関係を完全に隠ぺいしたいのだ。
それにはまず、この物件を外国人に売り飛ばして、家の履歴をロンダリングすればいい。
入居するのが外国人ならば、前の住人がどんな人なのか、興味を持つ事がないし、
近隣の住民も、異国の人間に立ち入った接触をしてこないだろう。
「そうですね。売れなければ、日本人向けの賃貸物件として、扱いますか?」
近藤が久遠に、お伺いを立てると
「そーだねぇ、そんなんで、いいんじゃない?」
どうでもよさげで、ややなげやりな口調に、近藤は小さく息を吐いた。
すでに、久遠はやる気がないのだ。
心はもう、恋人のエミリアのところに飛んでいる。
「ちゃっちゃと終わりにして、すぐに帰ろーぜ」
久遠が近藤に声をかけた。
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