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近藤の怒鳴り声は、少女たちの嬌声より迫力があったのか、
いっせいに、玄関ドアに立つ男二人に注目の視線が向いた。
こういう時の近藤は容赦しない。
居間まで、つかつかと入ると、中腰で逃げる態勢になった少女たちにわざと聞こえるように
「久遠、すぐに警察を呼んでください。」
「OK」
久遠が、少女たちに見せつけるように、ジーンズの尻ポケットからスマホを取り出した。
それと同時に、少女たちはいっせいに、
いや一人を除き、蜘蛛の子を散らすように、キッチンから裏庭、小さな木戸から裏通りに逃げて行った。
一人残った少女は、皆が逃げた後も、ゆっくりとたばこをくゆらせた。
「あんたたちのほうが、不法侵入になる。ここはパパの持ち物だから」
そして、挑戦的なまなざしで久遠を見た。
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