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過去の二人の関係を推理したのか、久遠をうろんな目で見た。
久遠は口を歪めて
「ああ、彼女が社交界デビューの時に、俺がエスコート役をしたんだ。
あの時は<黒髪のプリンスがいい>と言って、俺にベタベタで、
ずいぶんなついてくれていたんだけどなぁ」
そう言うと、肩を大きくすくめて、「こればかりはどうしようもない」というようにアピールした。
「そう、あんなオンナに負けたと思うと、悔しくてトラウマなの!」
アンジュはいらだたしげに、ローテーブルに置いてある煙草の箱に手を伸ばした。
すぐに、近藤が動き、煙草の箱を取り上げた。
「あんた、誰?」
ギロリと光る硬質のサファイアの瞳でにらみつけた。
一瞬、近藤の手が止まった。
その宝石の輝きに目を奪われた。
「ああ・・イライラする!!
煙草もアタシのものなんだから・・!」
アンジュの声で、近藤が現実に戻った。
「ダメです!あなたは未成年者でしょう!」
近藤は素早くアンジュの手首をつかみ、動きを制した。
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