当たったのに

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冬になると北風がきつく、身が凍るほど寒い。 夏の暑さや秋の涼しさが懐かしく思う。 私は「温かいものがほしい」と思い、自販機でコーヒーを買った。 冷え切った指先に伝わる温かさは、心の底から癒やされる。 そう思った時「ピコピコピコ……」と音がした。 「何の音だ」 私はスマホを見る。 「違う」 焦る私の斜め後ろから、イルミネーションのような光たちが視界に入る。 「これは……」 光の正体は、自動販売機のライトだ。 「もしかして、ルーレットが当たった」 喜ぶ私に対して、早く選べと言わんばかりに光たちが踊りまくる。 「どれにしようか」 と思った瞬間、光たちのダンスが終了する。 「終わるの早くない」 プレゼントを貰えず、心踊れない私を無視するかのように、自動販売機は静けさを取り戻す。 「なんてことだ」 私は頭を抱え、天を仰ぐ。 黄金色に光る満月と目が合った。 私を見下すように光る満月は、気まずい雰囲気を醸しながら、雲の中へと隠れていった。
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