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「あ!いたぁぁぁ!悠李君!」
「え、玲君」
「逃げるぞ悠李」
「え?あ、はい!」
「はぁぁぁ!?ちょっと悠李君に触んなぁぁ!」
俺は会長に手を掴まれている状態で全力で走った。後ろで玲君がめっちゃくちゃ叫んでるのが聞こえる気がするけど一応無視することにした。
しばらくの間走っていると玲君の声が聞こえなくなった。後ろを振り返ってみるとやはり玲君はいなくなっていた。
「やっと撒いたか。あいつホントしぶてぇな」
「玲君と知り合いなんですか?」
「一応な」
まぁ今までの事を思い出すと知り合いじゃないとおかしいよな。
それにしても玲君この学校に知り合い多すぎないか・・?そういえば玲君は俺の事を知ってるって言ってたよな?ていうことは俺がホントに覚えてないだけで彷徨や翼、弦先輩とあったことがある可能性があるんじゃないか?
「どうした?」
「いえ、あの間違ってたらすみません。」
「なんだ?」
「弦先輩と俺ってどこかで会ったことあります?」
「何故だ?」
「玲君は俺と会ったことがあるって言ってて、その玲君は俺と仲良くなった人、知り合った人のほとんどの人と顔見知りなんです。普通に考えたら偶然だと思えなくて」
弦先輩は少し考える素振りを見せると直ぐに口を開いた。
「そうだな。確かに偶然じゃないかもしれない。でも、もし偶然じゃなかった場合、なんのために俺たちはお前と合ったことがないって言ってるんだ?」
「それは…」
「普通に考えたら俺たちになんのメリットもないだろ」
「確かに。そうですね…考えすぎだったかもしれません。すみません」
ホントに弦先輩の言う通りだと思った。考えすぎにも程がある。俺は昔から人を信用しきれないところがあると父さんに言われたことがあった。俺は今、やっとそのことを自覚した。
「まぁ、そう思い込みをすることは誰にでもある。そう落ち込むな」
「ありがとうございます」
弦先輩はホントに良い先輩だ。疑ってしまった自分が恥ずかしいな。
「あと5分で終わる。それまで絶対に逃げ切るぞ」
「はい!」
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